日本に生まれた幸せ。
暮らしの中で味わう喜びが
ぬか床にはあります。

私たちがご先祖様から
受け継いできた
日本の発酵食のひとつ、ぬか床。
日本人の主食である
お米を精米する時に出るのが
〝ぬか〟です。
白くて綺麗な白米は、
甘みを感じやすく
消化も良い主食です。

けれど、栄養は
米の外側である
果皮や種皮、
胚芽といった
〝ぬか〟として
落とされる部分の方に
多く含まれていると
言われています。

米を白米にして美味しく、
ぬかも
捨てずに利用して、
美味しい
漬け物を作る
漬け床として活用する。
さらに発酵させて旨味や栄養素を
増やしているなんて、
先人の知恵は
本当にすごい。
と頭が下がります。

Chokatsu

Nukadoco Komachi

床は
やっ
いる?

ぬか床の素材は、米ぬか、塩、唐辛子、
この三つだけあれば、
あとは野菜に付いている
微生物たちが増えて発酵します。
微生物の生きるチカラによって、
野菜の表面が分解されて
旨味や糖質が引き出され、
塩味とあいまってお漬け物が完成します。
それをさらに美味しくするために、
旨味のもとになる椎茸や昆布、
風味のもとになるゆず皮や
柿皮、生姜などをぬか床に入れることで、
薫り高く味わい深い
「香の物」に仕上がります。

床は
やっ
いる?

Chokatsu

Nukadoco Komachi

床の

 3つのお手入れキホン

ぬか床の中には、
たくさんの種類の菌が住んでいます。
美味しいぬか床の為には、
乳酸菌がたくさんいる事。
程よく酵母菌がいる事。
雑菌が繁殖していない事。
バランスの良い菌叢にしてあげる為に、
毎日のお手入れをします。
腸内環境と同じですね。

その為に大切なのが、
①かき混ぜ
②塩と水分の調節
③温度の調節の3つです。

床の

 3つのお手入れキホン

混ぜ

気温が20度以下の時期は1日一回、20度を超える時期は1日2回かき混ぜます。
天地を入れ替えるように混ぜて、ぬか床に呼吸をさせてあげます。
それは、菌たちの生息域が違うから、増えすぎてほしくない酵母菌や雑菌が増えるのを程よく抑える為です。
酵母菌、特に産膜酵母が増えすぎると香りが悪くなり、生のパン生地のような味になってしまいますが、適量ぬか床に居ることで、フルーティな香りを出してくれます。増えすぎないようにする一番良い方法が、かき混ぜるということ。
産膜酵母は空気を好む菌で、ぬか床の表面で増えていきます。たくさんに増えた産膜酵母は白い幕が張ったような姿をしています。
ここまで来ると匂いも味も悪くなるので、定期的にぬか床の表面に居る産膜酵母をぬかごと空気の届かない床の底の方へ連れて行ってあげると増えすぎを防げます。
また、雑菌が増えてほしくないのは、発酵状態を保つ為と嫌な匂いを出すからです。雑菌が増えやすいのは、空気の届かないぬか床の底の方です。だから、底の方のぬかを表面へ持って来てあげることで雑菌の繁殖を抑えることが出来ます。
定期的にかき混ぜるのは、菌たちの特性に応じてちゃんと理に適っているんです。昔の人は、見えない菌の存在と、どうすれば良いかを知っていたのですね。

塩と水分
調節

ぬか床に野菜を漬けると塩分を野菜が吸って、ぬか床の塩分は薄くなります。
まず塩分は、毎回野菜を漬ける毎にひと摘みぬか床に加える。というのが忘れずに塩加減をキープできる方法です。
ぬか床の塩分が保たれている事は、乳酸菌や酵母菌の菌叢バランスを保つ為にもとても重要です。
塩を入れるのは「腐敗菌・悪玉菌を抑える為」と考えられて来ましたが、最近、塩の中のナトリウムだけでなく、マグネシウムやカリウムなどのミネラル成分が「発酵菌・善玉菌を育てるのに必要不可欠」であることが分かって来ました。
これは、腸内の善玉菌や体全体の代謝でも同じことで、ミネラルが善玉菌にとっても人にとっても生命を巡らせるキーとなっています。
美味しいぬか床を育てられる人は、腸活もバッチリ出来ているという事ですね。
ですので、ぬか床に使うお塩は、天日塩や昔ながらの釜焚き製法などの海のミネラルをそのまま含んだ物を使いましょう。
一方、水分についてどうすれば良いかというと、水気が多くなり過ぎないようにしてあげましょう。
漬け物をしているうちに、野菜から水気が出て次第にぬか床は緩くなって来ます。
手のひらでぬか床の上からグッと押した時に、指の間から水気がすこし滲むくらいが丁度良い水分量です。
それより多くなった時に、水分を減らす代表的な方法が
①足し糠をする ②乾物を漬ける ③水たまりを作る という方法です。
①足し糠は、ぬかに対して7%~10%程度の塩を混ぜたものを、ぬか床が丁度良い硬さになるまで少しずつ混ぜ合わせます。
②乾物を漬けるというのは、多すぎる水分を乾物に吸ってもらうのです。
乾燥しいたけや、高野豆腐、大豆などお好みの物を使うことが出来ます。昆布や椎茸などを入れれば、旨味アップも出来ます。
③水たまりを作るという方法は、ぬか床の壁際にスプーンや手を使って穴を掘ると、そこに余分な水分が溜まります。
それをキッチンペーパーなどで吸い取るか、小さいぬか床であれば容器を傾けて取り除くことが出来ます(傾けた時にぬかを落とさないように気を付けて下さいね)。

温度調節

ぬか床の菌は、気温が20℃以上になると活発に活動しはじめます。
気温が高くなると、菌量も増えて乳酸やアミノ酸などの酵素の産出も勢いづきます。
逆に気温が低いと、活動が休眠状態に近くなり、酵素などの量も少なく、漬かるのにも時間がかかるようになります。なので、10℃台後半~20℃台前半を目安に、夏は涼しい場所に冬は暖かい場所に置いてあげるようにしましょう。
夏の暑さが厳しい地域では、冷蔵庫に入れることも出来ますが、その場合は2~3日に1回のかき混ぜで野菜が漬かる時間も約3倍ほどはかかります。

本の漬け方

皮は野菜の実を守る働きがあるので、皮で覆われたままでは漬かりにくいです。
縦に割るように切ったり、皮をストライプに剥くようにして、果肉にぬか床が触れるようにします。
水分量によって漬かり時間は変わります。水分の多い物は半日~1日程度、水分の少ない物は1日~2日程度です。
野菜に付いたぬかはそのまま食べても、洗い流しても構いません。
ぬかには白米の部分よりもたくさんの栄養が含まれていますし、発酵させてあるぬか床は旨味やビタミンや酵素、善玉菌も含まれていますので、ぬかごと食べるのがおススメです。
ぬか床から出した後は、冷蔵庫で1週間~10日ほどで食べきりましょう。なるべく空気に触れないほうが美味しさが長持ちします。
夏野
瓜科やナスなど水分の多い夏野菜は、塩もみをして水分を拭き取ってから漬けると良いでしょう。そのままでも漬けられます。
  
通常、火を通してから食べる物は、硬めに茹でるか電子レンジで。しっかりと冷ましてからぬか床に入れることが重要です。
葉物野菜
根本の部分に土が残りやすいので、しっかり洗い流します。根元を切り落としてしまうと、小さい物はばらばらになるので切り落とさずに漬けます。
※葉が重なると漬かりにくいので、葉と葉の間にぬかが入るようにします。

変わり

日本人の腸活には、お野菜のぬか漬けがいちばんおススメではありますが、きのこ類、魚介類、たまご、肉、豆腐など、お野菜以外にも様々なものを漬けて楽しむことが出来ます。
きのこはぬか床にそのまま入れても構いませんが、その他の物は基本的にぬか床を取って別の容器や袋で漬けるようにします。
数回使ったぬか床は捨てるか、お料理で一緒に炊き込んだり焼いたりすると調味料の役割もしてくれます。お好みの色々な食材を漬けてみて下さい。
YouTubeでは、野菜別や変わり種食材の漬け方も紹介しています。ぜひご参考になさって下さい。

YouTubeにて季節の高知やさいを使った野菜別の漬け方も随時更新しています。